「良いお墓」と「悪いお墓」の違いを教えてください。
お墓はどんな建て方をしたとしても「悪いお墓」にはなりません。建てたお墓を「良いお墓」にするのも「
悪いお墓」にするのも、すべてはお墓をお守りする方次第です。
石の品質で良し悪しを言うならば、「一番高い石の品質が一番良い」とも言い切れません。何をもって品質を
「良い」 「悪い」とするかは、石材店ごとに考え方に違いがあります。石材店を選ぶときに、店主のお墓に対
する考え方を聞いてみてください。
また、お墓は「高ければ良い」というものではありませんが、安すぎるものに良いものはありません。
お墓にも適正価格があり、「価格に見合った仕事」というものがあります。本当に良いものは技術の高い職人が手間隙かけて作っているため、それなりの費用もかかります。
お墓を建てるまでの流れについて教えてほしい。
ここでは一般的な流れをご説明します。
1.墓地をお持ちでない場合は、まず墓地選びから始めます。場所や雰囲気、ご家族の宗旨宗派などを含めて検討し、その条件に合う墓地を探します。その際、チラシやインターネット、雑誌などで情報収集して現地をいくつか見学します。
区画の広さや施設の充実度などが条件に合うかどうか確認します。
また、すでに候補の墓地がある場合でも、一度石材店にご相談されることをお勧めします。なぜなら石材店には、大々的には募集していないものの、空き区画のある墓地について情報をもっていることがあるからです。
2.気に入った墓地が見つかったら、域内のどこにお墓を建てるかを決め、場所を申し込んで購入します。一般的には永代使用料を支払い墓地の使用権を取得します。このとき使用規則の内容を確認することが大切です。
3.墓地が決まったら墓石の準備に入ります。予算をもとに石材店の担当者と石の種類、デザイン、字彫、納期などについて細かく打ち合わせていきます。
このとき見積書をもらつて工事内容や価格を確認してください。疑問点がなければ必要事項が記載された契約書や保証書を取り交わしてください。
4.工事内容が決まり契約が終わると、次は区画・石材の工事です。工事中、少なくとも一度は現場に足を運ぶことをお勧めします。きちんとした石材店であれば工事の進み具合を確認させてくれます。
5.お墓が完成したら埋葬手続きをし、開眼供養(かいげんくよう)を行い、魂入れをします。
お墓に使う石材の種類と特徴について教えてください。
お墓に使われている石の種類は三百種類にものぼり、国内だけでなく世界各国から輸入されています。
花崗岩(かこうがん) お墓の石として最もよく使われています。硬度がとても高く、磨くほど艶(ツヤ)も出て、耐久性もあります。一般的には「みかげ石」と呼ばれています。庵治石・大島石・真壁石・稲田石など。
安山岩(あんざんがん) 花崗岩に次いで使われることの多い石材です。吸水性がやや高いものの硬度が高く、耐久性もあります。小松石・山崎石など。
斑レイ岩(はんれいがん)・閃緑岩(せんりよくがん) 一般的には「黒みかげ」と呼ばれています。国内産の黒みかげは数が少なく高級品とされています。浮金石など。
墓地の種類について教えてください。
墓地や霊園は、経営主体や管理者、形態などによって大きく4つの種類に分けられます。
公営霊園 都道府県や市町村などの地方自治体が管理・運営している墓地で、都営霊園・市営霊園などがこれにあたります。申し込みは各都道府県や市町村役場です。自治体管理のため運営は安定しており、民間に比べて費用も低いため、購入する際の競争率は高く抽選になることが多々あります。ただし、「遺骨がすでに手元にあること」 「その自治体の管轄内に現住所があること」 などの資格制限が設けられています。購入するときに宗旨宗派を問われず、石材店を自由に選ぶことができます。
民営霊園 民営霊園とは公益法人 (財団法人や宗教法人など) が許可を受け管理・運営している墓地です。宗教法人が管理・運営していても○○霊園として宗旨宗派を問わずに販売しているものを一般に民営霊園と呼んでいます。
購入の際の資格制限がなく、宗派についても問わない所がほとんどです。また比較的自由に区画面積、墓石デザインを選ぶことができます。駐車場などの施設も充実しています。
寺墓地 寺院が所有、管理・運営している墓地です。その多くが市街地にあり、利便性が高いといえます。常に住職がいるため墓地の管理が行き届いているところが多く、法要の際だけでなく日常的に安心して管理・供養を任せられます。子孫がいなくなってしまった場合にも永代供養をしてもらうことができるので安心な反面、檀家もしくは同じ宗派でなければならないことや御布施など寄付金の負担義務がある場合もあります。墓石のデザインも自由にできないことが多く、墓所の空きがない場合もあります。
みなし墓地 実際には経営許可を受けていませんが、受けたものとみなす墓地のことを「みなし墓地」といいます。そのほとんどは「墓地、埋葬等に関する法律」施行(昭和23年6月1日)前に設置された墓地です。同法施行後は原則として、新たに墓地経営が認められるのは地方公共団体、公益法人に限られています。みなし墓地には旧村の共同墓地(地縁墓地)や個人墓地(共同墓地と同様に法律が施行される以前から私有地に作られていた個人が管理する墓地) などがあります。
墓石の種類を知りたい。
墓石の形や大きさには、特別な決まりはありません。基本的に形は自由に決められます。ただし、区画が決められているため、それに収まる大きさにしなければなりません。また、墓地によっては、仕様について、ある程度の規制をしている場合もあります。従来、墓石のデザインは「和型墓石」と「洋型墓石」が中心でしたが、最近では、故人をイメージしたものなど個性的なオリジナルの墓石も登場しています。
和型墓石 日本で古くから建てられている角柱型のお墓です。台石の上に「仏石」あるいは「竿(樟)石」と呼ばれる搭状の石のほか、五輪塔、仏舎利塔を略した仏塔なども多数建てられています。
洋型墓石 公園墓地などにみられる横長の墓石を用いたお墓です。和型と比べると高さも低く安定感があり、シンプルなデザインが特徴です。
オリジナル墓石 自由な発想で個性を出した墓石です。故人の趣味や職業をイメージしたものなど既存の墓石にはない斬新な型が特徴です。スポーツの道具や将棋盤の形をしたお墓、お酒好きだった故人を偲んで徳利型のお墓などさまざまな形のものが登場しています。
また家名ではなく自分の好きな文字を彫ったり、レリーフをほどこしたりすることもできます。
お墓には石塔(花立て、水鉢、香炉等を含む)のほかに外柵(巻石)、墓誌(墓標)、灯篭、塔婆立て、敷石・拝石など付属するものがあります。
納骨の手続について知りたい。
遺骨をお墓に納めるためには「埋葬許可証」が必要になります。病院などの医療機関から「死亡届」を受け取り、それを役場に出して「死体火(埋)葬許可証」 の申請をして発行してもらいます。
交付された「死体火(埋)葬許可証」を火葬場に提出すると、火葬済みの印を押して返却されます。これにより 「埋葬許可証」 が発行されます。墓地の管理者に「埋葬許可証」を提出すれば埋葬を行えます。
自宅から墓地が遠いのでお墓を移したい。どうすればいい?
転居などで墓地が遠くなり管理するのが難しくなった、また故郷にあるお墓を守る人がいなくなってしまったなどの理由があれば、お墓を別の場所に移すことができます。これを「改葬」といいます。次の法律的な手続を経て行います。
まず新しい墓地を確保し、その墓地の管理者から「受入れ証明書」を発行してもらいます。その後、現在の墓地の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらいます。二つの証明書がそろったら役場にある「改葬許可申請書」に記入し「受入れ証明書」「埋葬証明書」と一緒に提出します。これにより「改葬許可証」が発行されます。移転先の墓地の管理者に「改葬許可証」を提出すれば改葬を行えます。
「永代使用料」と「永代管理料」について教えてください。
お墓や墓地は普通の不動産と違い土地の「所有権」を売買するものではありません。寺院や霊園から墓地区画の「(永代)使用権」を購入したり、譲渡されたりするものです。「永代使用料」とは墓地の「使用権」を手に入れるために支払う費用のことです。
「管理料」とは文字通り、墓地を管理するための費用のことです。共有部分(通路・駐車場・施設)の維持管理や霊園内の水道光熱費、ごみの処理などに使われます。
「管理料」は通常「年払い」などで支払われますが、まれに「永代管理料」として、数十年分前納する場合もあります。「管理料」の金額や支払い時期、支払い方法等は各霊園、寺院によって異なります。また管理料は「物価変動」や「施設の改善・改修」のため、値上げされる場合があります。
永代使用料を支払ったら「永代使用許可証」の交付を受けるのをお忘れなく。「永代使用許可証」 が発行されていない場合は、必ず領収証をもらつてください。
散骨と樹木葬について教えてください。
お骨をお墓に埋葬せず海や野山に撒くことを「散骨」といいます。現在の日本では散骨に関する法律が整備されていないため、節度を持って行う限りにおいては、法律によって罰せられることはないようです。
ただし、この「節度」というのはあいまいで、今後変化する可能性もあるでしょう。すでに現在でも海への散骨は「遺骨を細かく砕くこと」や「漁業が盛んに行われている海域では散骨を控えること」などが基本とされています。また日本国内の山への散骨は難しいのが現実です(墓地、埋葬等に関する法律に抵触する恐れが強いため)。
樹木葬とは地面にそのまま穴を掘りお骨を埋葬し、墓石の代わりにあまり大きくならない低木を植えるやり方のことを言います。最近では、霊園内に樹木葬スペースを設け、大きな木の下に整然と複数の遺骨を埋葬する方法も考えられています。
樹木葬は墓地として許可を得た場所にお骨を埋葬することから、法律的に見てもお墓の一種といえます。しかし散骨は海や空などにお骨を撒くため、将来お参りができません。
いずれにせよ、昨今注目を集めている散骨や樹木葬ですが、実際にそれを選ばれる方はごく少数です。